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政策研究ネットワーク山形(ブログ版)

組織の垣根や立場の違いを乗り越え、山形の人と知をつなぐ

「山形市を中心とした山形県内自治体の人口ビジョンと総合戦略の検証」第4回勉強会(3月25日)のご報告

政策研究ネットワーク山形では、「山形市を中心とした山形県内自治体の人口ビジョンと総合戦略の検証」を2016年度の研究テーマとして、現場レベルの声に耳を傾けながら、検証を行い、政治・行政関係者を中心に提言を行います。3月25日(土)に、第4回勉強会が開催されました。ワールドカフェの方法を取り入れ、4会員からの報告をもとに、小グループに分かれて、席替えも行いながらディスカッションを行いました。

現在、全4回の発表と議論を踏まえた発表会&討論会を企画・準備しています。まずは、第4回のまとめをお届けします。

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第1セッション~子育て・若者支援の政策課題を考える

第1セッションでは、子育て・若者支援の政策課題に焦点を当てた報告がなされました。

まず、山本泰弘会員からは、ひとり親家庭をはじめとする経済的に困難な家庭に対し、幼児教育&保護者教育の機会を提供する「まちなかクラス」の創出が提案されました。その背景には、子どもの将来の能力開発に大きな影響を与える幼児教育へアクセスできる子とできない子とが家庭の経済力によって峻別され、いわゆる「格差の再生産」が進行するという現実があります。したがって、格差解消のためには、幼児教育に対する支援が必要であるというわけです。

次に、滝口克典会員からは、ぷらっとほーむでの実践に基づき、「若者支援をめぐる山形県の政策について」報告がなされました。「引きこもり」や「ニート」の問題の根幹には、「居場所の問題」があるとの知見に基づき、必要なのは、数値として成果も目に見えやすい就労支援、登校支援などではなく、若者の多様性を受け入れる「居場所作り」であると指摘されました。その上で、それを可能にするのは「支援といわない支援」を行うNPOであり、県からも年度単位で補助金による活動支援がなされている現状について、報告がありました。

ワールドカフェによる会員間での議論の結果、いずれの報告にも共通するのは、生活課題に対する制度的対応はもちろん必要ですが、そうした対応は、スティグマの問題、細切れの問題、硬直性の問題も生み出すために、それだけでは限界があることなどが指摘されました。むしろ、人びとの生活全体をともに支えあうことができるような「つながり・ネットワーク・コミュニティ」の創出こそが求められており、こうしたつながりの創出に向けた地味な支援(人材育成、空き家利用による交流拠点の提供など)こそが行政に求められている、との指摘もなされました。

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第2セッション~山形市の「発展」の政策課題を考える

第2セッションでは、山形市の発展計画に関する政策課題に焦点を当てた報告がなされました。

まず、齋藤直希会員からは、重度障害当事者として、一市民としての現実=日常生活を踏まえた「山形市発展計画の検証を行っていただきました。まず、「子育てしやすい環境の整備」、「教育環境の整備」については、現状の計画が、「子供が常に健康で、それ相応に安全に過ごせる『居場所』が存在した場合」に偏っており、医療面、教育面など、「本当に困ったときの支援」こそが必要であり、子育て世代の現状にもっと目を向けた政策(障害児童生徒に対応した教育環境の整備、放課後の整備など)が求められると指摘されました。

さらに、「「高齢者がいきいきと暮らせるまちづくり」については、介護保険制度の財源問題も視野に入れて、「地域で支援し合う」ためには、事務作業の簡略化などの工夫が必要との指摘がなされました。

続いて、伊藤嘉高会員からは、山形市が進める「市街化調整区域規制緩和の意義と課題」について報告がなされました。まず、4月3日の公示による指定範囲を見るまで最終判断はできないが、今回の山形市規制緩和は、抑制的なものであり、その点は評価できると指摘されました。というのも、実際に、山形市内に居住を望みながら叶わない子育て世代が見られるため、ある程度の人口転入は見込めるからです。また、周辺市町村との人口の奪い合いになるだけではないかとの指摘も考えられますが、広域で考えれば、山形市外に広がっていく宅地を、山形市内にコンパクトにまとめるという見方もできるわけです。周辺市町の老朽化した公共施設をすべて更新できないことを考えれば、なおさらです。

ただし、他方でさまざまな課題も指摘されました。まず、市街地の空洞化をさらに進めてしまうのではないか? 市街地における空き家の数はきちんと把握できているのか? 人口30万人ビジョンの実現に向けて、今回の規制緩和はどの程度、寄与するのか、シミュレーションはなされているのか? という疑問です。規制緩和も困難な作業ですが、緩和したものを再規制するのはさらに困難です。人口30万人ビジョンの軌道修正が必要になった場合、引き返しが可能になるような、段階的な規制緩和が必要であるとの指摘がなされました。

その上で、合理的な規制緩和に向けて4点の政策提案がなされました(詳細は割愛)。他会員からも、空き家の原因を見極めた対策を優先させるべきとの声も挙がりました(しかし、4月3日の公示では、条件に該当する区域がすべて規制緩和の対象になりました)。

ワールドカフェの議論では、いずれにせよ、数値目標のビジョンの前に、住民とともに「山形での魅力的なライフスタイル」あるいは、(こぼれ落ちた人、こぼれ落ちそうな人への視点を併せ持った)「山形での生活の豊かさ」(ゆとりあるスローライフ)を提示した上で、さまざまな支援策にせよ、都市計画にせよ、さまざまな政策が形成されるべきとの声が多く挙がりました。

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