特別企画「高齢者の住まいと生活を考える~自律した生活を実現するサービス付き高齢者住宅の可能性と課題」(2018年5月20日)のお知らせ
政策研究ネットワーク山形の今年度の研究テーマが決定しました。「高齢者の住まいと生活を考える」です。
高齢者の生活を議論する際には、どうしても「介護」や「ケア」が問題になりますが、実際には、自立、要支援、要介護の区分にかかわりなく、多くの高齢者は、さまざまな生活(仕事にせよ、趣味にせよ、交流にせよ、移動にせよ)をしており、それを「生きがい」にしています。
そこで、今年度は、そうした高齢者の方々の多様な自律的生活の維持という視点から「住まい」の課題、とりわけ、(高齢者を単なるサービス受給者とみなすのではなく)「いかにして『自律的な生活』を維持するのか」を、そうした理念を実現するものとされている「サービス付き高齢者住宅」(下記参照)を題材にして考えたいと思います。
そこで、特別企画として、下記の通り総会に合わせてシンポジウム「高齢者の住まいと生活を考える~自律した生活を実現するサービス付き高齢者住宅の可能性と課題」(5月20日開催)を企画しました。非会員の方も参加できます。ぜひ、ご参加ください。
日時と場所
- 日時:2018年5月20日(日)13時~16時
- 場所:霞城セントラル23階高度情報会議室
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次第
総会
- 13時~13時20分 活動報告、規約改正、会長・運営委員選出
特別企画「高齢者の住まいと生活を考える」
- 13時20分~13時30分 自己紹介タイム
- 13時30分~14時 山形市長寿支援課・課長・柳史生さん(厚生労働省から出向)
「サービス付き高齢者住宅の制度と山形における実情と課題」 (仮) - 14時~15時 グランドホーム樫の木・管理者・五十嵐元徳 さん
「 サービス付き高齢者住宅の現場から高齢者の生活を考える」(仮) - 15時~16時 質疑応答と議論
参考情報
「サービス付き高齢者住宅」とは
「サービス付き高齢者住宅」(サ高住)とは、高齢単身世帯や認知症患者の急激な増加が考えられるなか、「自宅」にこだわらないかたちでありながら住み慣れた地域で在宅医療や看取りを適切に受けられる仕組みとして、国が整備支援を進めている住宅です。
2011年に制度化されたサ高住は、専門スタッフによる安否確認サービスと生活支援サービスのついた賃貸住宅であり、1室25平米以上の床面積やバリアフリー化など住宅としての機能が要件とされ(ただし台所、浴室などの設備は共用でも可)、医療や介護を必要とする一人暮らしの高齢者でも入居できる点が特徴です。
当初は2025年までに60万戸の整備目標が掲げられましたが、2017年3月末時点ですでに22.5万戸が整備されています。なぜ「施設」ではなくサ高住という「住宅」の整備が求められているのかを確認しておくと、その背景には、「住まいとケアの分離」に根ざした「地域居住」(エイジング・イン・プレイス)の発想があります。
「地域居住」とは、たとえ一人暮らしでも「最期まで住み慣れた場所で住み続けたい」という根源的な願いを実現するために、バリアフリー構造の自宅に住まうか高齢者住宅に早期に住み替え、自らのケイパビリティ(潜在能力)を最大化するかたちで、さまざまなサービスをフレキシブルに組み合わせ提供してもらうスタイル(地域包括ケア)です。
さらに、地域内では、町内会やNPO等のインフォーマルな見守り、生活支援、交流形成といった活動もさまざまに生まれている。つまり、そうした高齢者の生活を支えるさまざまなネットワークが多様につながれる開かれた生活空間の形成が求められているのです。
サ高住は、本来、こうした理念を体現するものであるべきですが、実際には、住まいとケアが分離されておらず、事業者側の営利が優先され、患者が必要な医療や介護を選択できていないケースが見られます。他にも、市街化地域外に立地しており、外出がままならないケースや、医療・介護必要度が高まると退去を迫られるケース等も確認されています。
- 参考:国土交通省「サービス付き高齢者向け住宅の現状と課題 」、2018年3月
会の運営について
また、今年度より運営方針を見直し、運営委員の任期を1年として、当該年度の研究テーマについて、実際に時間を割いて動ける方に、手上げ方式で運営委員になってもらいたいと考えています。このテーマに関心のある方は、新入会員の方でも運営委員に加わっていただくことができます。ぜひご参加ください!
なお、これまでの運営委員経験者については、「諮問会員」として遇することを考えています。諮問会員は、運営委員会に「任意に」参加し発言する権利を有しますが、議決権はありません。また、会の運営のスリム化のため、FAX会員、郵送会員廃止を提案します。