政策研究ネットワーク山形(ブログ版)

組織の垣根や立場の違いを乗り越え、山形の人と知をつなぐ

会員紹介(第2回)小野仁会員(山形市議会議員)

第2回会員紹介は、本会の前身である「ローカルマニフェスト推進ネットワーク山形」設立当時から活躍されている山形市議会議員の小野仁会員です(2014年9月23日インタビュー)。さまざまなかたちで市民とネットワークでつながることにより、開かれた議会の実現、地域自治の活性化に尽力されておられます。

なお、本会はさまざまな立場や考え方をもった方々が集まって成り立っています。したがって、各会員のインタビュー記事は、必ずしも本会の見解を代表するものではありません。

◆小野仁会員プロフィール
おの・ひとし。1953年、山形市生まれ、ブリヂストンタイヤ山形販売勤務を経て、1990年に独立開業。各種地域団体・民間団体の役員、小中学校PTA会長等も歴任し、2003年より山形市議会議員。現在は、環境建設委員会委員長、山形市青少年問題協議会委員、山形市住居表示委員会委員、保護司、山形市青少年指導センター指導員、NPO法人山形県喫煙問題研究会常任理事、NPO法人障がい者情報支援ネットワーク・あいむネット理事、山形県防災士会副会長等も務める。

民間会社勤務から独立開業へ

小野仁会員02(山形市議会議員)

山形市香澄町の南追手前(現城南町)で生まれ育ちました。近所の人からは、この歳になっても、子どもの頃と同じように下の名前で呼んでくれるんですよ。山形中央高校を卒業してからは、東京で予備校生活を始めたのですが、親との約束で生活費をアルバイトで稼ぐようになってからは、いろいろな仕事に精を出す毎日になってしまいました。

そうした生活を送っていたところ、小学校の教師をしていた母親が狭心症で倒れてしまったのです。これ以上親に心配をかけさせるわけにもいかないということで、急遽、山形に戻り就職活動をしました。

営業に向いている人間だと思われたのか、運良く、ブリヂストンタイヤ山形販売に採用してもらいました。入社してからの仕事は順調で、営業成績もトップクラスで、昇進も早かったですね。そして、36歳の時に独立することになりました。当時は、各地で拠点形成によるエリア進出がはかられていて、その流れを受けて、会社からも30%の出資を得て山形市江俣に有限会社を立ち上げました。

社会貢献と政治行政への関心

独立した頃から、パートナードッグの飼育を個人的な趣味にしていて、麻薬探知犬、セラピードッグや補助犬を育てたりしていました。育てた補助犬福祉施設に預けられたことで、障害のある方たちと初めて接することになりました。自分たちが普段生活している社会とは「別の社会」を見たわけです。

「この人たちのために何かできることはないか」という意識が芽生え、福祉関係で新たな人間関係が生まれていきました。市議会議員になった2003年に日本パートナードッグ協会を立ち上げていますが、これは議員になる4~5年前から準備を重ねてきたものです。日本パートナードッグ協会は、数少ない介助犬の認定団体にもなりました。

福祉以外でも、さまざまな地域活動に参加していましたね。町内会や小中高のPTA等の役員活動といった活動はもちろんのこと、当時は自民党にいた鹿野道彦さんの勉強会にも参加したり、当時の山形大教授(現・東北文教大学教授)の大川健嗣教授の山形塾にも参加していました。人とのネットワークの多くはこの山形塾で築かれたものです。仕事も忙しかったのですが、やはり地域社会と関わるのが楽しかったんですね。

人生に転機が訪れたのが、仕事で独立してから10年後のことです。自分の店の敷地が県道拡幅の対象地になってしまったのです。このとき、立ち退きの補償をめぐって県と交渉することになったのですが、県の高飛車な態度にあきれ果てました。ただ、当時は流通革命のさなかで、元の販売会社からも教えてもらっていたことなのですが、メーカーがリテールも手がけるようになり、タイヤの販売業もだんだんと厳しくなるという時期でもありました。

また、同じ時期には、実家のあった地域も市による区画整理の対象になっていました。そこでは、高校時代の同級生もやはり大いに苦労していて、行政不信を募らせていました。それがきっかけで、同級生たちから「自分たちの同窓会からも政治家を出して、行政の風通しを良くしよう」という機運が盛り上がったのです。

わたしは同窓会の役員をしていて、ちょうど自分の仕事も転機を迎えていたこともあって、会長と副会長からも市議会議員への立候補を打診されました。物怖じしない性格を買ってくれたのでしょうか。私は政治家の秘書でもなければ、業界団体が付いているわけでもなく、同窓会からの応援という、いわば口約束だけだったのです。それでも、妻も何も言わず協力してくれて、立候補することになりました。

今考えると、よく立候補したなと冷や汗が出ますよ。さまざまな地域活動や福祉活動で培われた社会貢献に対する思いをかたちにしたいということが背景にあって、行政のやり方に対する義憤にかられて、立候補してしまったんですね。地区町内会長も応援してくれて、何とか当選することができました。2003年、49歳の時です。

中道の立場から社会的包摂を目指す

市議になった当時は無所属で、拉致問題などで自民党の沢渡和郎県議とも一緒に活動していました。福祉関係では、福祉に強い政党の議員が頑張っていましたが、それらの政党は党派性が強く、わたしはあくまで中道の立場から、何かに縛られることなく自由に是々非々の活動がしたかったのです。

ただ、翌年には、私が市議になる前から勉強会に参加させてもらっていた鹿野さんが民主党に復党したのをきっかけに、私も民主党に入党しました。社会的包摂という理念に大いに共感したからです。もちろん、理念だけではダメで、国政で民主党が批判を受けたように、具体的な政策展開がしっかりしていなければなりません。

私は、民主党に入党した年に、北川正恭三重県知事(早稲田大学大学院公共経営研究科教授)が始めた地方自治の勉強会に参加したことで、政策志向の地方政治家という像ができあがりました。これからの時代は、地方議員も勉強しなければならないとの思いを強くさせられたのです。

それがきっかけで、54歳になって、大川教授の勧めで東北文教大学に入り、卒業後は山形大学人文学部に編入学し、公共政策を学びました。そこで出会った北川忠明教授や石川敬義さんたちとで、北川前知事の提唱していたローカルマニフェストを推進するためのネットワーク組織(政策研究ネットワーク山形の前身)を立ち上げたわけです。

政治家の役割というのは、人びとが抱えている問題はさまざまありますが、そのなかでも政治行政で解決すべき普遍性をもったものを明らかにして、問題解決のために政策・制度面でできることを考え、その実現に向けて取り組むことにあります。

ところが、そうした活動の要をなすはずの選挙公約について、検証がなされることはありません。実際、市のマスタープランなどの政策に関心を持ちエネルギーを注ぐよりも、陳情に対応し、地域密着型で活動した方が選挙で票が集まるのです。

市の事業項目は1,800から2,000にも及ぶので、そのすべてのスペシャリストになることはできません。わたしは社会的包摂、インクルージョンの立場から、新自由主義路線とは一線を画して、福祉と教育で役割を果たしていきたいと考え、政策重視の議員活動に取り組んできました。私は経営者でもあるので、もちろん、市の財政にも目を向けています。

現在は、2013年からは山形大学の大学院にも進学し、障害者の参政権について研究を進めています。とくに視覚障害者の投票行動に現制度では十分に対応し切れていない点を明らかにするとともに、実際に、政治家として、選挙公報のあり方など、制度的に改正すべきことを提言し実行してきたいと考えています。

どうしても、福祉や教育に対する政策は、自分たちとは違う人に対して施しをすればそれで良いとしてしまう人がいるのですが、社会的包摂というのは、福祉の対象となる人も、自分たちと同じひとつの人生を過ごしているのだという目線で、社会参画を実現させていくことなのですね。

また、最近は、在宅医療・在宅介護について根本元先生たちの山形在宅ケア勉強会にも参加して、在宅での生活を多職種で支える地域包括ケアシステムの整備について政治的に支援できることを考えています。

地域自治の活性化に向けて

小野仁会員01(山形市議会議員)

ただし、私がやっているような活動は、特定の支持者の声を代弁するものではなく、誰が自分の活動を支援してくれているのか目に見えにくい。ネットワーク型で自由に人とつながっていくことが理想ですが、ホームページで政策発信しても、見てくれる人は議員の仲間や行政の職員に限られています。実際問題、政治家にとって「誰が投票してくれるのかわからない」状況はとても不安なのです。

最近では、政府の集団的自衛権行使容認に対する反対意見書の提出を求めたり、山形市公契約条例の制定に賛成したりしましたが、公契約条例の制定は否決されました。公契約条例によって、従来の入札制度によるダンピングを防止し、「総合評価一般競争入札」を導入することで、就職困難者の雇用を促進したり雇用の質を改善したりするとともに事業の社会的価値を高めるというものです。

こうしたテーマごとに党派性にかかわらず是々非々の立場で判断していると、支持者の方々から「見損なった」と言われることもあります。丁寧に説明していくしかありませんが、私の場合は、2期、3期目と少しずつ当選順位を上げているので、見えないところで支持してくださる方も増えているようです。

現在、山形市議会では市内8か所で地域報告会を開催していますが、昨年度は全会場で20数名しか集まりませんでした。天童や上山では1会場で20人位集まるので対照的です。地方自治の質の向上には、市民の方々に地方議会にもっと関心を持っていただくことが欠かせません。

私も山形大学インターンの学生を受け入れるなど試行錯誤をしていますが、いずれにせよ、向かうべき社会の方向性と、そのためにすべき具体的政策をしっかりと打ち出して、市民の方々に共有してもらえるよう、私たちがもっと頑張らなければなりません。

政策研究ネットワーク山形では、これからも党派や立場にとらわれることなくさまざまな立場の人が集まり、さまざまな課題について自由に討議を交わし、あるいは、さまざまな組織をつなぐことで、インクルーシブな社会の実現に向けたネットワークを広げていきたいですね。

(2014年9月23日、カナレットにて、聴き手&構成・伊藤嘉高)

参考リンク

27年度総会&研究発表「リスクが拡大、アベクロノミクス」のお知らせ

平成26年度の研究活動の成果発表とともに、総会を下記の要領にて開催します。総会では、27年度の活動方針も決定します。

非会員の方も、当日、ご入会頂くことで(年会費:無料)、参加頂くことができます。山形の人と知のネットワーク化に関心のある方は、ぜひご参加ください!

27年度総会&研究発表

  • 日 時:2015年6月13日(土)午後1時30分より
  • 場 所:文翔館第2会議室(正面入口から入り階段を上り、旧政庁の右隣の部屋)
    山形県山形市旅篭町3-4-51、TEL 023-635-5500
  • 駐車場:同館北の道路を挟んで反対側にあり
  • 会 費:無料

    f:id:seisakuken:20140430170512j:plain

総会議事

1. 会員活動報告

各会員より、この1年間の活動について、1分~3分以内でご報告いただきます。

2. 会員対策

26年度に実施した会員インタビューの報告(3件)と、27年度の実施予定、さらには、山形の人と知のネットワークの深化に向けて、会員外インタビューの実施について議論します。

3. 27年度のミーティング・テーマと講師選定

前回総会で出されたテーマ案(未実施分)とともに、27年度のミーティング・テーマと講師選定について議論します。

4. その他

政策研の活動について、各会員からのアイデアを求めます!

研究発表

f:id:seisakuken:20140606112727j:plain

第3回ミーティング開催のお知らせ「地方創生『まち・ひと・しごと創生』を地方の現場から考える(仮)」

26年度第3回ミーティングを「地方創生『まち・ひと・しごと創生』を地方の現場から考える(仮)」をテーマとして11月16日(日)に開催することになりました。ミーティングでは、県内で当該テーマをリードする活動をされている方を招いて講演を聴き、その後、ワールドカフェ形式で講師と会員、会員間で議論と交流を行います。

中央から見た地方創生

日本創成会議がこの5月に公表したいわゆる「消滅自治体リスト」が世間の大きな注目を集めました。これは、今後も地方から大都市への人口流入が今後も続くと仮定して独自の人口推計を行った結果、試算20~39歳の若年女性人口が2040年までに半数以下に減少する都市(「消滅可能性都市」)が(福島県を除き)896と約半数にのぼり、さらに、そのうち人口1万人を割る523自治体についてはより消滅の可能性が高いと結論づけたものです。

(ちなみに山形県では、東根市(-24.7%)、山辺町(-35.4%)、山形市(-38.7%)、米沢市(-46.7%)、寒河江市(-48.2%)、高畠町(-48.5%)、長井市(-49.8%)以外の28市町が「消滅可能性都市」とされています。)

その結果、地方の人口減少(および出生率の低い東京への一極集中)が今後の主要課題として認識され、7月25日に内閣府に「まち・ひと・しごと創生本部」設立準備室が発足されました。同時期に、経済財政諮問会議が「50年後に人口1億人台維持」との数値目標を打ち出しています。「まち・ひと・しごと創生本部」(地方創生本部)は内閣改造後に正式に発足し、ビジョン策定が始まりました。

f:id:seisakuken:20141009012043j:plain

具体的には、有識者会議により、早ければ年内を目途に「2020年までの総合戦略」により、「骨太の方針2014」に示された「50年後に1億人程度の安定した人口構造を保持する」との目標達成に向け、今後5年間にわたる具体的な施策イメージが示されることが決まっています。

臨時国会(「地方創生国会」)では地方創生関連法案の第一次案の提出がなされるとともに、来年度予算編成にあたっては概算要求で地方創生などの特別枠が設けられています。これは、来春の統一地方選を強く意識したものとみなされています。これら関連法案や来年度予算の特別枠が統一選対策の色合いを強めれば、本来の地方創生とは乖離し、「ばらまき」に帰着してしまうおそれもあります。

そこで注目されるのが、9月12日に地方創生本部初会合で決定された基本方針です。このなかでは、「地方中枢拠点都市及び近隣市町村、定住自立圏における地域連携を推進し、役割分担とネットワークを形成することを通じて、地方における活力ある経済圏を形成し、人を呼び込む地域拠点としての機能を高める」と明記されています。

この点については、総務省の「地方中枢拠点都市」構想が背景にあります。これは、3大都市圏以外で人口20万人以上、昼夜人口比率1以上の高度 な自治体機能を持つ拠点都市を選び、医療、介護、教育などの機能を集約する構想です。この拠点都市に対して、国は地方交付税の上乗せによる支援を行うことで、「選択と集中」を進めようとしています。また、国土交通省も「国土のグランドデザイン2050」を取りまとめ、人口減少対策として人口30万人規模の地方都市圏を維持する「高次地方都市連合」を打ち出しています。

f:id:seisakuken:20141009012319j:plain

これらは、従来型の一律的なばらまきを排する可能性を持ったものとなっていますが、ただし、いずれの構想も、三大都市圏ないし七大都市圏だけが別枠に入れられて、あとは十把一絡げに語られています。地方任せでは限界があるという認識が今回の構想の背景にあることは確かでしょうが、これまでの成功事例が示すように、地方の多様な現実にアプローチするには、分権的アプローチが不可欠であり、いかに地方が利害対立を乗り越えた大局的視点によりまとまることができるのかが問われてもいるのではないでしょうか。

講師紹介

高橋信博氏

今回のミーティングでは、講師に山形県農政企画課・地域づくり専門員である高橋信博氏をお招きします。高橋氏は、農村計画課勤務が長く、「行政マンらしくない行政マン」として、県庁の1階から16階まで部課の枠を超えてワークショップ形式などによる課題解決方法や地域資源発掘などの実践面で依頼が舞い込み、対応してきた方で、県内は全市町村を回り各地域で住民と深く接し、東京大学に招かれ講義をし東大の学生を県内で実地トレーニングしたり、他県に招かれ講演などを行うなど、県内外千以上の地域づくりに関わり、全国区でご活躍されています。高橋氏に、地域づくりのあり方について本音を語っていただき、ボトムアップ型の地方創生の可能性について考えます。

第3回ミーティングのご案内

  • テーマ:地方創生「まち・ひと・しごと創生」を地方の現場から考える(仮)
  • 日時:2014年11月16日(日)13時30分より
  • 場所:文翔館第2会議室(正面入口から入り階段を上り、旧政庁の右隣の部屋)
    山形県山形市旅篭町3-4-51、TEL 023-635-5500
  • 駐車場:同館北の道路を挟んで反対側にあり
  • 講師:高橋信博氏(山形県農政企画課・地域づくり専門員)
  • 会費:無料(500円カンパを募ります)

ご関心のある方は是非ともご参会ください。非会員の方も会員登録(無料)いただければ参加することができます!

参考リンク

第2回ミーティングのご報告「福井地裁の大飯原発運転差止判決と原発廃炉の行方」

先日、当ブログでもお知らせしました第2回ミーティング「福井地裁の大飯原発運転差止判決と原発廃炉の行方」を9月6日に開催しました。堀川会員からはお茶菓子を提供いただき、小野会員がインターンシップの学生を連れてきて頂くなど、打ち解けた雰囲気で自由な議論が交わされました。

f:id:seisakuken:20140906145401j:plain

わたしたちが社会を形成していくうえで、経済合理性や科学的客観知はもちろん不可欠なものです。しかし、それらがパターナリズムと結びつくと、無謬性(あるいはすべてはコントロール可能であるという神話)を帯び始め(批判する者は「反社会的」とのレッテルが貼られ封じ込められ、犠牲者は周縁に置かれ不可視化される)、市民社会を侵食する危険因子になってしまいます。講師の石川会員の指摘を受けとめれば、そうした意味で、原発は戦後日本における市民社会の未成熟さの象徴でした。

脱原発の路線は多くの国民が支持する一方で、「いつなくすのか」によって廃炉のもたらすリスクが変わってくるという現実も背景に、なし崩し的に再稼働が進められようとしていますが、当日の議論は、脱原発を政策化していくために一人ひとりができること、さらには、山形に最終処分場が建設される可能性なども話題に上がりました。

講師を務めた頂いた石川敬義会員のご厚意により、当日配付資料を政策研公式サイトにアップしています。一般公開していますので、ぜひごアクセスください。

政策研究ネットワーク山形|会員研究
http://www.seisaku-yamagata.net/papers.html

f:id:seisakuken:20140906152817j:plain

第1回ミーティングのご報告「人口減少社会における持続可能な地域発展を実現する高齢者雇用」

先日、当ブログでもお知らせしました第1回ミーティング「人口減少社会における持続可能な地域発展を実現する高齢者雇用」を6月21日に開催しました。吉田会員から手作りのちまきを振る舞って頂くなど、ざくばらんな議論ができました。

f:id:seisakuken:20140621163644j:plain

論点は実に多岐にわたりましたが、このブログでは、大きな論点のみピックアップして紹介したいと思います(会員の皆様には、石川事務局長による詳細な取りまとめをお送りしています)。

f:id:seisakuken:20140621161021j:plain

主な論点

  • 人口減少社会における持続可能な地域発展を実現するには、65歳以上の高齢者を生産年齢人口に組み込み、新たなビジネスモデルを立ち上げることが鍵となる。
  • ところが、多くの県民(行政含む)は、60~65歳(定年)以降の就労に対する意識が極めて乏しく、そうした動きはほとんど見られない。
  • その背景には、本人の技能、地域性、年金等の社会保障制度、就労環境、家族関係など、さまざまなファクターがあり、単一の政策スキームを提示すれば解決する問題ではない。それぞれの状況に応じた自発的な就労とビジネスが立ち上がっていかなければならない。
  • そこで一人ひとりの県民(行政含む)の意識改革が重要になる。この意識改革を促すために、特定の地域に政策研が関与し、モデルケースを形成し県民に訴えていくというかたちが良いのではないか。
  • まず、その見込みのある戸沢村に入って、高齢者と会い、現状を認識し、当会が考えているようなことが当てはまるかどうか考えることから始めたい。

以上です。実際に戸沢村に入る日程は、メーリングリストでお知らせする予定になっています。今回のミーティングに参加できなかった方でご関心のある方は、是非ともご参加ください。

【開催日変更】第2回ミーティング開催のお知らせ「福井地裁の大飯原発運転差止判決と原発廃炉の行方」

26年度第2回ミーティングを「福井地裁大飯原発運転差止判決と原発廃炉の行方」をテーマとして開催することになりました。ミーティングでは、県内で当該テーマをリードする活動をされている方を招いて講演を聴き、その後、ワールドカフェ形式で講師と会員、会員間で議論と交流を行います。

画期的な判決

関西電力大飯原発

大飯原発運転差し止め訴訟は、関西電力大飯原発3・4号機(福井県おおい町)の再稼働は危険だとして、同県をはじめとする22都道府県の住民計189人が運転差し止めを求めた訴訟です。2014年5月21日、福井地裁は、「冷却や放射性物質の閉じ込めに欠陥がある」「運転により人格権が侵害される危険がある」などと指摘し、再稼働を認めない判決を出しました。2011年の福島第一原発の事故後、原発の運転差し止めを命じる判決は初めてのことです。

判決では、原子力発電所について「電気の生産という社会的には重要な機能を営むもの」とその必要性を認める一方、「原子力発電所の稼動は法的には電気を生み出すための一手段たる経済活動の自由(憲法22条1項)に属するものであって、憲法上は人格権の中核部分よりも劣位に置かれるべきものである」とするなど、原告側および脱原発派からは画期的な判決として受けとめられました。

これに対して、関西電力は判決を不服として名古屋高裁金沢支部にすでに控訴しています。関電は、現在進む原子力規制委員会の安全審査に適合し、地元同意などの条件が整えば、控訴審判決の前でも再稼働を進める考えを示しています。

再稼働派がとりわけ問題にしているのは、「少なくともかような事態を招く具体的危険性が万が一でもあれば、その差止めが認められるのは当然である」という判断です。これは「ゼロリスク」でなければ認めないと言っているに等しく、「安全のための工学」を全面的に否定しているとして批判しています。

新聞社説も評価二分

この判決については、新聞各紙でも評価が真っ二つに分かれており、読売、日経、産経の3紙が、百パーセントの安全を求めるのは「非現実的」などと厳しく批判したのに対し、朝日、毎日、東京の3紙が、国民の命を守る判決だと称賛しています。

山形では、吉村美栄子県知事が滋賀県の嘉田知事とともに「卒原発」を共同宣言するなど、原発依存からの脱却と代替エネルギーへの転換を進めようとしています。そこで、政策研第2回ミーティングでは、元山形新聞論説委員・前荘銀総研理事長である石川敬義会員に大飯原発再稼働訴訟判決と批判を読み解いていただき、その後、会員間で議論をおこない、今後のエネルギー政策についての理解を深めたいと思います。

第2回ミーティングのご案内

石川敬義会員
  • テーマ:福井地裁大飯原発運転差止判決と原発廃炉の行方
  • 日時:2014年8月24日(日)13時30分より
    日時:2014年9月6日(土)13時30分より
  • 場所:文翔館第2会議室(正面入口から入り階段を上り、旧政庁の右隣の部屋)
    山形県山形市旅篭町3-4-51、TEL 023-635-5500
  • 駐車場:同館北の道路を挟んで反対側にあり
  • 講師:石川敬義・元山形新聞論説委員・前荘銀総研理事長(本会会員)
    (※講師謝金は発生しません。)
  • 会費:無料(お茶菓子などのご提供は大歓迎!)

ご関心のある方は是非ともご参会ください。非会員の方も会員登録(無料)いただければ参加することができます!

参考リンク

第1回ミーティング開催のお知らせ 「人口減少社会における持続可能な地域発展を実現する高齢者雇用」

政策研究ネットワーク山形では、山形における地域生活の切実かつ具体的な課題をテーマとした「ミーティング」を2か月に1回程度開催し、人と知のネットワークを深化させています。

26年度第1回ミーティングを「人口減少社会における持続可能な地域発展を実現する高齢者雇用」をテーマとして開催することになりました。ミーティングでは、県内で当該テーマをリードする活動をされている方を招いて講演を聴き、その後、ワールドカフェ形式で講師と会員、会員間で議論と交流を行います。

人口減少や少子高齢化については問題提起がさまざまになされてきたものの実効的な解決策に取り組む動きはほとんど見られません。人口減少の進む地域社会では、定年者や高齢者の労働環境を創出、改善することが、若者に対しても豊かで明るい将来像を示すことにもつながり、持続可能な地域社会の構築に大きく貢献するものと考えられます。

しかし、高齢者の労働環境をめぐる問題はさまざまにあると考えられますが、その実態と対策についての調査研究は十分になされてきていません

そこで、政策研では、25年に村松真会員が「定年後の再雇用・再任用・継続雇用・自営業の状況に関するアンケート」と題した予備調査を実施し、26年度には 対象を拡大し、本調査を実施することになりました。さらに、本調査から得られた政策については、モデル企業を設けて実証事件をおこない、最終的な政策提言 冊子にまとめる計画になっています。

第1回ミーティングでは、村松真会員に少子高齢会における持続可能な地域発展を目指した高齢者雇用と上記調査設計について講演頂き、その後、ワールドカフェ形式で会員間で議論をおこない、本調査の設計を進めます。

第1回ミーティングのお知らせ

f:id:seisakuken:20110512111614j:plain

  • テーマ:人口減少社会における持続可能な地域発展を実現する高齢者雇用
  • 日時:2014年6月21日(土)13時45分より
  • 場所山形大学東北創生研究所
    上山市金瓶字湯尻19-5、アクセスマップ
  • 講師:村松真・東北創生研究所准教授(本会会員)
    (※講師謝金は発生しません。)
  • 会費:無料(お茶菓子などのご提供は大歓迎!)

ご関心のある方は是非ともご参会ください。非会員の方も会員登録(無料)いただければ参加することができます!

f:id:seisakuken:20140612224239j:plain

参考リンク